看護師不足

看護師の関わる問題の中でも、看護師の不足問題は言われて久しい問題です。

しかし現状は、看護師不足が改善されるどころか、ますます看護師不足に拍車がかかっているというところにいるのです。

2005年に厚生労働省が発表した調査によると、全国で約41,000人の看護師が不足しているとされていました。

また2008年にある調査会社が行なった結果によると、全国の病院のうち、約7割が看護師不足と回答しているというデータもあります。

ではなぜ、このような看護師不足の現状に陥ってしまったのでしょうか。

まず挙げられる要因としては、看護師の労働環境の劣悪さということがあります。

看護師の仕事は、なんといってもとくにかく厳しいということです。

例えば、ある病院では夜勤は月に9回以上、準夜勤と言われる深夜0時までの勤務も月に数回、その場合は午後からのシフトから連続しての勤務のため、実質的には午後から出勤して帰るのが深夜という状況、そしてそれに伴う休日の減少ということがあります。

とくに20代から30代前半の看護師では、体力があるということで積極的に夜勤に回されやすくなってもいます。

また、2008年の調査によると、月50時間以上の残業は過労死の公務災害に認定されているのですが、その基準を上回る残業時間があるという看護師は、全国で約8%近くに上っていました。

中には、月80時間の残業時間になってしまったという看護師もいたほどです。

さらに看護師の不足を生んでいる現状に、給与の問題があります。

09年に人事院が行なった調査によると、看護師は20代から30代のうちはそれなりの給与がもらえるのですが、それ以降は腹帯手も給与が上がっていく仕組みがなく、40代になっても50代になっても、月40万円にも届かないという給与体系になっています。

これは、昔からある同じ病院に看護師が勤務し続けるということが前提となっている給与体系が見直されていないためで、現状の責任ある仕事や感染症にかかるリスク、医療事故で訴えられるかもしれない可能性まで含めて考えると、割に合わない給与体系となっています。

実際、給与に対する不満が引き金となって看護師を辞めていく方も後を絶ちません。

キャリアを積んで看護師長等になったとしても、大幅に給与がアップするわけでもありませんので、キャリアを積んでいく意味も薄れていってしまうということも引き起こしています。

モチベーションを支えるものが、看護師自身のやる気と奉仕の精神にかかっているというような現状では、看護師の仕事を長く一生続けていくというのは難しい方が増えて当然と言えるでしょう。

3つ目の看護師不足の要因として挙げられるのが、一度退職した方でもう一度看護師に復職するという方の少なさです。

今後は少子化ということもあって、絶対的な新人の看護師数は減少していくというのは否めません。

実際、09年の新たな看護師は、08年よりも1万人以上減少しているという現状があります。

そのため看護師不足に歯止めをかけるのは、一度何らかの理由で退職した看護師が、再び看護師として復帰してもらうということになります。

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看護師の退職理由

何らかの理由で退職するという理由の最たるものが、結婚や出産です。

結婚や出産でいったん看護師委の仕事を離れ、そのまま現在も看護師として復職していない、いわゆる潜在看護師は、全国で約55万人いるといわれています。

この方たちがなぜ看護師として復職しないかというと、復職できないからです。

つまり、看護師の仕事が過酷すぎて、自分の家庭のことや子供のことを大切にしていけるゆとりがなくなるということです。

そのような状況では、いくら復職を望まれても復職のしようがありません。

毎年新たに看護師になる方の数よりも、離職されていく看護師の数の方が多いのですから、看護師の数が減少していったとしても当然です。

潜在看護師が復職できるようにするにはどうしたらよいのか、それは看護師不足に対する大きな課題でもあります。

そしてもう1つ、看護師不足にさせているものとして挙げられるが、2006年に行なわれた診療報酬の改定です。

これは、入院患者に対する看護師の数が多いほど、病院に入る診療報酬が高くなったというものです。

10対1、もしくは7対1看護という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

このことによって、資金に余裕のある病院は看護師を雇えるのですが、そうではない中小や地方の病院は人手不足に陥り、閉鎖に追い込まれたという病院もあります。

そしてそのしわ寄せは周囲の病院へ行き、患者数が増えたことで再び看護師は労働が厳しくなるという悪循環を生んでいるのです。